地球温暖化とは?温暖化の原因と仕組みを解説
2019/12/04
地球温暖化とは、温室効果ガスが増え過ぎ、宇宙に逃げようとしていた熱が地表にたまりすぎてしまったために、気温が上昇したり、地球全体の気候が変化したりします。それでは、詳しく見てみましょう。
温暖化はなぜ起きる?
地球を暖めてくれる「温室効果ガス」
地球という惑星は、太陽からの熱が海や陸に届くことによって暖められています。
そして、暖められた地球からも熱が宇宙に放出されています。
その放出される熱の一部を吸収し、地表から熱が逃げすぎないようにしているのが、「温室効果ガス」です。
この温室効果ガスとは、大気中にある二酸化炭素(CO2)やメタン、フロンなどのことをさします。
これらの温室効果ガスがまったく無いと、太陽の熱が全部宇宙に逃げてしまうため、地球の平均気温は氷点下19度まで下がってしまうと考えられています。
つまり、温室効果ガスは地球を暖かく保つ役割を果たし、たくさんの生きものがすみやすい環境を作る、地球にとってなくてはならないガスなのです。
増え続ける温室効果ガス
しかし、温室効果ガスが増え過ぎると、宇宙に逃げるはずの熱が放出されず、地表にたまりすぎてしまいます。そのため、気温が上昇したり、地球全体の気候が変化したりします。これが、地球温暖化です。
二酸化炭素の排出が急激に増え始めたのは、18世紀の産業革命以降のこと。以来、人間は石炭や石油などの化石燃料を燃やして、たくさんのエネルギーを得てきました。
その結果、大気中に排出される二酸化炭素が急速に増加。これが現在、地球温暖化を引き起こす、主な原因と考えられています。
特に、20世紀の100年間は、温暖化が急激に進みました。
IPCC(気候変動に関する政府間パネル:Intergovernmental Panel on Climate Change)が2018年に発表した特別報告書(Global Warming of 1.5℃)によると、産業革命以降、世界の平均気温は約1℃上昇しています。
こうした平均気温の上昇は、どのような影響を地球環境に及ぼすのでしょうか?
地球温暖化とは、単に地球全体で徐々に気温が上がっていく、というだけ変化ではありません。
地域ごとの差も大きく、極地方や標高の高い地域ほど、気温の上昇率は高くなります。
また異常気象の発生する頻度が高まったり、嵐が強大化したりする恐れもあります。
もちろん異常気象は今の気候でも発生しますが、地域によっては今までに経験したことのないような異常気象が発生する可能性があります。
また伝染病を媒介する蚊などが、今までに発生したことのない地域にも生息域を広げる恐れがあり、それぞれの地域が、経験したことのない新しいリスクに備える必要があるのです。
温暖化の恐ろしさは、ただ気温が上がる、ということではないのです。
温暖化を進めているのは誰?
排出しているのは一部の国々!
世界全体から排出される温室効果ガスのうち、約80%を占めているのは二酸化炭素(CO2)です。
この二酸化炭素の国別排出量や、国民一人当たりの排出量は、国や地域によって大きく異なります。
2016年の一年間に、世界約190カ国から排出された二酸化炭素の総量は、およそ323億トン(二酸化炭素換算)ですが、そのうち、70%近くは、日本を含めたほんの十数カ国からの排出が占めていました。
また、一人当たりの二酸化炭素排出量を比較すると、先進国の排出量が、途上国の3倍以上に相当していることがわかります。
世界の二酸化炭素の排出量が増えている原因は、これらの一部の国に住む人たちが、電気や石油をたくさん使う生活をしているためです。
さらに温暖化の深刻な被害をすでに受けている人々の多くは、温暖化にほとんど責任のない、貧しい途上国にすむ人たちです。温暖化は環境問題であると同時に、貧困や格差の問題でもあると云うことができるでしょう。
日本からの排出も増え続ける
世界では二酸化炭素排出量は増加の一途をたどり、その排出量は50年前に比べると、実に3倍以上、100年前に比べると約12倍にまで増えています(※1)。
日本も例外ではなく、排出される温室効果ガスのほとんどは二酸化炭素です。その量は、2017年度の1年間で11億9,000万トンにのぼります。
このうち、エネルギー転換部門(発電)と産業部門(鉄鋼業など)からの排出が約65%と最も大きな割合を占めています。
また、運輸部門(自動車や航空など)や家庭部門(照明や自家用車など)や業務部門(オフィスビルや店舗など)からの排出量も依然として全体の約1/4を占めており、産業部門と同様に削減のための対策が求められています。
エネルギー転換部門 | 発電、石油精製(原油から重油・ガソリンなどを精製する過程) |
---|---|
産業部門 | 製造業(鉄鋼、化学、機械など)、農林水産業、建設業など |
運輸部門 | 自動車、鉄道、航空など |
業務部門 | オフィスビル、店舗など |
家庭部門 | 電力、暖房など |
工業プロセス部門 | セメント、化学産業(化学肥料の原料の生産にも使われるアンモニア等の化学物質の製造ほか)など |
廃棄物部門 | 廃棄物の燃焼、埋め立てなど |
もう吸収できません!?
1970年から2010年までの40年間に、世界で排出された温室効果ガスの総量は、実に80%近くも増加。特に、二酸化炭素の排出量は、同じ40年間に、倍近くもの伸びを見せています。
特に増えたのは、エネルギー供給部門からの排出で、150%以上も増加しました。さらに、運輸部門が約150%、産業部門も約60%増え、現在も伸び続けています。90%あまりも増加した世界の人口と、経済活動の拡大にともなう所得の増加が、こうした温室効果ガス増加の背景にあるとみられています。
森林破壊や農業由来の排出量も小さくありません。森林の伐採や火災、農地を造成するための土地改変等による二酸化炭素の排出くわえて、農業での施肥が元で排出される温室効果ガスは、実に全排出量の1/4になります。
森林が破壊されると、二酸化炭素の吸収源が失われるため、さらに温暖化を加速させてしまうおそれがあります。
現在、 森林や海洋といった地球上の自然が、1年間に吸収してくれる二酸化炭素の量は、約半分の180億トンほど(二酸化炭素換算)と見積もられていますが、一方で、世界中の国々が排出している排出量は約340億トン。自然が吸収できる許容量を、はるかに超えています(※2)。
このため、地球の大気中に残る二酸化炭素の量は、毎年あたり、160億トンにのぼり、温暖化を進めてしまっているとみられています。
この排出と吸収のバランスをとることは、地球の未来を考える上で、避けることの出来ない課題といえるでしょう。
排出した二酸化炭素が、地球の環境の中で自然に循環できるレベルに抑えられるように、炭素の排出を削減してゆかなければ、温暖化は止めることができないのです。
(※1)米国オークリッジ研究所が公表する、“Global CO2 Emission from Fossil-Fuel Burning, Cement Manufacture, and Gas Flaring (3, Mar,2017)”のデータを参照。2014年時点と1964年、1914年のそれぞれの排出量を比較した結果。
(※2)IPCC AR5 WG1をもとに気象庁が整理したデータを参照。データは2002年から2011年までの平均値となっているため、必ずしも最新年の排出量と一致しないことに留意。なお、データは炭素換算値のため、3.667を係数として二酸化炭素換算した値。
関連サイト
温室効果ガスの現在の排出について詳しく知りたい方は、こちらのホームページをご覧ください。
- 温室効果ガスインベントリオフィス
日本から排出される温室効果ガスの排出量を調べ発表しています。 - 全国地球温暖化防止活動推進センター
地球温暖化に関するさまざまなデータを集めて公表しています。 - 米国オークリッジ研究所
世界全体や国ごとの温室効果ガスの排出量や気温の変化を調べ発表しています。[英語] - IPCC (Intergovernmental Panel on Climate Change)
気候変動に関する政府間パネル:温暖化に関する国際的な科学者の集まりで、温暖化の根拠・影響・対策に関する科学的・技術的な知見をとりまとめて発表しています。[英語]
WWFの地球温暖化に対する取り組み
世界各国にネットワークを持つ「WWF気候・エネルギー・プラクティス」では、地球温暖化を引き起こす温室効果ガスの排出量を大幅に削減する国際的な協定を、各国政府と産業界、金融セクター、そして一般市民から引き出すことができるよう、世界各地で活動を展開しています。
WWFは、世界と日本の人々が、持続可能で、安全・安心で、真に豊かな未来を享受するためには「自然エネルギー100%」の未来を目指すことこそが必要だと考え、『脱炭素社会に向けた長期シナリオ提案』を提示しています。
「未来47景」で、気候危機がもたらす、あなたの地元の未来を予測!?
私たちの愛着ある地元の風景を、日常を、未来につないでいくために。心をひとつに、「今」行動することが大切です。